アレコレ読みたい雑記

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護られなかった者たちへ

[著者:中山七里/宝島社]

 あくまでフィクションと自分に言い聞かせた上で。それでも『生活保護受給』に関する一連の問題を描いた部分は、現実と切っても切れない深く重い繋がりを嫌でも感じさせられました。

 護らなくてもいい者が護られ、逆に本来は護られるべき者=『絶対に護られなければならない者』が護られない。制度の振るわれ方の難しさ、制度そのものの限界や理不尽さなども、痛感させられましたね。

 物語自体も非常に読み応えがあって面白かったです。特に『容疑者』側の事情や動機が明かされるに連れて、どんどん引き込まれて行きました。最後の“ひと仕掛け”もとても印象に残るものでした。

 映画化の劇場公開は見逃してしまったので、今度映像化されたらそちらで是非観てみたいですね。