アレコレ読みたい雑記

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地平線を追いかけて満員電車を降りてみた 自分と向き合う物語

[著者:紀里谷和明/文響社]

 もしも自分が人生で何か大きな悩みを抱えていて、それで作中の劇場と支配人みたいな存在と必然的に出逢ったとして。その場合、同じく作中の“悩み人”達のように、やはり最初は素直に聞き入れられないかも知れない……と思いました。

 読み終わった後なら、自分の『行動』も『心』も間違った方向に進んでいるとハッキリ理解出来るんですけど。特に「正しいはずだ」と“信じ込んでいたい”気持ちが強いほど、なかなか見ず知らずの他人の声に耳を傾けられないものなんですよね。

 読んでいて、「絶対この人を説得するの無理だろう」って思うほどに、面倒な人たちばかりでした。それだけに、徐々に警戒を解きほぐし、自然と寄り添うように語りかけてみせる支配人の『静かで落ち着いた凄味』みたいなのがとても印象的でしたね。